没東京 夢日記

没東京 夢日記

「キミの文章は真実がない」 とコトあるごとに云われる。 そのたびに「つまらん」そう思う。 だからココに嘘と真を混ぜ合わせた文章を書いて、新しい真実を作ることにした。

キミの文章にはリアルがないってさ

「キミは泉鏡花の真似をしてるのかわからないけれど、キミは彼みたいにはなれないよ。彼の文章は現実離れしているようで、真実がある。なんたって苦労してるからね。しかしね、キミの文章からはそれが見えてこない」

それはどうしようもないじゃないか……、と思った。確かに私は苦労をしていないかもしれない。けれどもそれは、どうしろっていうんだ?

大学時代、とある文学賞で賞を取って、小説家の先生に好評をもらったときの話である。

それから幾星霜――。

会社員になってからも私はまだ小説家を目指している。とは云え学生時代の無尽蔵な時間とは違い、限りある時間で小説を書くことは難しく、掌の小説を書いて満足していた。

ある時、理由は思い出せないが、会社の先輩に小説を送りつけた。

先輩はしっかり読んでくれて云った。

「キミの文章にはリアルがない」

「え?」

「なんだろう、もっと経験したコトとかを書けばいいんじゃない、まあ、この幽玄さがいいのかしら、わかりませんが」

私は唸った。

だって経験したことを書くなんて、それじゃあ、ブログじゃないか。

それとも経験したことを散らばして、物語にリアルさを組み込むのか。

いや、そもそも物語にノンフィクションは必要なのか?

わからない。わからないので、考えないことにする。

とりあえず私はココに嘘か真かわからないようなことを書き綴る。真実も散りばめて、嘘を書く。あるいは嘘を散りばめて、真実を書く。